日産自動車のトップに君臨していたカルロス・ゴーン前会長の逮捕は、日本の産業界に大きな衝撃を与えた。グローバル経営の導入が本格化した平成の時代、ゴーン氏はその象徴的存在でもあった。ゴーン氏逮捕はどんな意味を持つのか。40年にわたり世界と日本の企業を分析してきた大前研一氏に聞いた。

おおまえ・けんいち●1943年生まれ。米マサチューセッツ工科大学大学院で博士号(原子力工学)。日立製作所を経て、マッキンゼー日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任。2010年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)
──ゴーン氏が逮捕されました。
今回の逮捕のきっかけはゴーン氏のルノーCEO(最高経営責任者)の任期問題だろう。マクロン仏大統領は、経済・産業・デジタル大臣だったころからルノーと日産の統合を主張していた。一方、もともと2018年までだったゴーン氏のルノーCEOの任期は22年まで延びた。ゴーン氏と仏政府との間で、ルノー・日産の完全統合と引き換えに任期を延長する密約があったのではないか。
マクロン大統領の狙いは「1000万台クラブ」の実現であり、「世界一の車メーカーが仏に存在する」というプライドの実現だろう。このままだとルノーに有利な形で経営統合が進み、本社部門が一緒になる。日産という母体はなくなり後戻りできなくなる。(日産の)西川廣人社長らはそこに危機感を抱いたのではないか。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
連載一覧
連載一覧はこちら