「とりあえずビール」。そんなフレーズも平成の後半には聞くことが少なくなった。ビール業界トップ、アサヒグループホールディングスの小路明善社長に課題と活路を聞いた。
──ビール業界にとっての平成とはどのような時代でしたか?
一言でいえば激動の時代だった。ビールの課税出荷数量が過去最高を記録したのが平成6(1994)年。以降は消費者のビール離れが続き2018年に過去最低を更新した。最高から最低までを経験したのが平成という時代だ。
当社の歴史にとっても非常に大きな時代だった。現在の大黒柱である「スーパードライ」は87年に発売し、3年後には1億ケースを突破した。発売前にはシェア10%ほどしかない3位メーカーだったが、これをきっかけに首位に立つことができた。
出荷数量はその後2億ケース近くまで伸びたものの、17年度には1億ケースを割り込んだ。昨今の居酒屋業界の厳しさや消費者の嗜好が多様化していることを考えれば致し方ないことだ。
国内では収益を重視 海外展開もカギに
──発泡酒や新ジャンル(第3のビール)の登場などによって市場は大きく変わってきました。
安価なビール類の登場や、規制緩和によって酒類を買える場所が増えたことで価格競争が強まった。消費者の間で高まっていった節約志向に応えてこられたのは悪いことではない。各社でシェア争いを激化させてきたのも間違った経営戦略ではなかった。当時は全体のボリュームがまだあったからだ。現在の縮小市場ではシェア争いよりも収益性を追求していくのが正しいと考えている。
──ポスト平成時代の酒類メーカーはどうあるべきでしょうか?
価格競争の時代が終わった以上、消費者に付加価値を認めてもらえる製品を提案し続けなければいけない。メーカーも問屋も小売りも適正な利潤を取り、その利潤を研究開発・商品開発に回してさらに付加価値の高いものを生み出すサイクルを作ることが重要だ。
海外展開もカギになる。当社は16~17年にかけて欧州のビール会社の大型買収を行ってきた。買収で手に入れたブランドやスーパードライを、国内や欧州だけに限らず全世界に展開していく。
──キリンの「一番搾り」は17年の刷新以降好調です。ポスト平成時代にはスーパードライ初の大型刷新の可能性もありますか?
この先もスーパードライを変えることはないだろう。刷新すると、ゼロからブランドを作り直すことになる。そんな自己否定は絶対にしない。シェアや販売数量ではなく、消費者の飲用意向やブランド想起率などがブランドとしての魅力の源泉だと考えており、そうした指標は上がっている。これまであまりビールを飲んでこなかった女性や若年層に、ビアカクテルなど新しい飲み方の提案を強化すれば販売を伸ばす余地は十分にある。
(聞き手・本誌:石阪友貴)






















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