格差の拡大が深刻な米国で今、19世紀の政治思想ジョージズムが徐々に論議になり出した。その思想の中核は、税を高率の地価税一本に絞り込む政策だ。
安倍首相のゴルフ外交もむなしく、4月の日米首脳会談ではトランプ米大統領の「米国第一」が露骨だった。
環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰どころか、むしろ対日貿易赤字の削減に対する圧力が強まり、自動車と農産物が標的となる雲行きだ。1980年代に戻ったような状況である。
露骨な「米国第一」は、3月31日号の当欄で指摘したように、トランプ政権が選挙モードに入ったためだ。至近では11月の中間選挙、その向こうに2020年大統領再選もにらみ始めた。16年大統領選で当落のカギを握った中西部ラストベルト(さび付いた工業地帯)や農業地帯の下層中産階級の不満や不安に応じてみせようという腹積もりだ。
まさにポピュリスト政治である。だが、トランプ自身が真のポピュリストかというと疑問だ。ポピュリストあるいはポピュリズムという言葉は、1890年代に資本家の横暴にあえぐ中西部・南部の農民・労働者らを糾合した人民党(ピープルズ・パーティ)が蜂起したことに由来する。トランプはその技法を模しているが、困窮する農民・労働者のリーダーの姿には程遠い。
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