どうやら深刻な崩壊が起こりかけているようだ。
文科省、防衛省、厚労省と、文書の隠蔽やリーク、データ隠しが立て続けに発覚した。財務省では、国税庁長官の辞任だけでは済まず、ついに事務次官が記者へのセクハラ疑惑で辞任に追い込まれるという事態に立ち至った。とりわけセクハラ疑惑は、財務省幹部のオウンゴールである。
自ら墓穴を掘るという財務省の体たらくが、現在の政権、とりわけ官邸の危うさを象徴している。ひそかに進行する「崩壊」である。
思い返すと、第1次安倍晋三政権の末期は、「官邸崩壊」などと叫ばれていた。官邸スタッフが相互に疑心暗鬼となり、政権の中枢も暴走し、事実上制御不能となっていた。現在、官邸スタッフが当時ほどバラバラだとはいえないだろう。ただ、致命的なリークの続く今、制御不能なのは各省の現場である。制御を試みても徒労に終わっているのは、第一義的には各省幹部であるが、その背後にある官邸も壁に直面している。人事権を官邸が行使し、意に沿う人物を各省幹部に据えても、事態が解決しないどころか逆効果だからである。政権のガバナンスに対する現場の不信が著しい。
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