これからの不動産選びはココに注意せよ! “埼玉大変 千葉心配”の時代--『不動産絶望未来』を書いた山下努氏に聞く
首都圏、近畿圏の各大学が、郊外から都心に再びキャンパスを建てる回帰現象にもそれは明らかだろう。
山下さんは、新聞や雑誌の取材をとおして、1990年代初頭のバブル経済崩壊から建設、不動産、住宅業界を約20年間ウオッチしてきた。不良債権問題を徹底取材するため、不動産投資やマイホーム購入で失敗した会社や個人、住宅メーカーやゼネコン経営者などからじかに聞いた話のエッセンスを本書に詰め込んでいる。
「私の本を読んでも、多くの人は住宅、不動産を買う危険性を忘れてしまうでしょう。土地神話は、それほど崩すのが簡単ではない。ムードに流されず、自分で考えることを忘れず、自分の基準を持ってほしい」
そのための理論武装、情報を拾うにも、「分譲マンション、住宅地の価格情報が載っている東京カンテイなどのホームページが参考になります。今は情報ツールも発達しているので、素人でもプロ並みの情報を得られます。その点は自分で勉強してほしい」と指摘する。
さて、厳しい環境下でも敢えて、住宅や土地を買うならどこがお勧めか。実際、山下氏も5年前に東京・湾岸エリアに「熟慮に熟慮を重ねて」住宅を買っている。
「郊外住宅地の典型である『野、丘、台』がつくようなところは避けましょう。そういう場所に買っても、家が生涯監獄になるだけです。私自身は賃貸でいい、と思いますが、都心のビジネスエリアに時間距離で有利な地域……東京だと清澄白河(江東区)、神田(千代田区)、日本橋(中央区)、築地(同)などでしょう。JR中央線沿線や世田谷区、横浜市などは割高で勧めません。
ドア・ツー・ドアで職場から1時間以上かかるエリアもダメ。駅徒歩15分以上だったり、バスに乗らないといけない物件もやめた方がいい。本書で提唱する『時間地価』という新しい家の評価基準を忘れないでください」