国の「不作為」を認定 原発訴訟の天王山で
原発事故は防げた──。福島地裁が国や東電の不作為を認定。崩れる「想定外」の論拠。
国や東京電力ホールディングスの不作為を認める判決が出た。
福島地方裁判所は10月10日、東電・福島第一原子力発電所事故に関する損害賠償請求訴訟で、国と東電の法的責任を認定した。
午後2時すぎ、原告側の弁護士が裁判所の前で「勝訴」「国と東電断罪」の幕を掲げると、原告や支援者から歓声が上がった。報告集会では、中島孝・原告団長が、「国の責任を認めさせるという一丁目一番地で完全に勝利した」と誇らしげに語った。
東電が主張する「想定外」を否定し、原発の敷地の高さである海抜10メートルを超える津波が襲来することを予見できたとしたことでは、3月の前橋地裁、9月の千葉地裁に続いて3例目だ。対策を実施していれば事故を回避できたことや、そのための規制権限の行使を国が怠っていた事実を認めたという点では、前橋地裁判決に次ぎ2例目となる。
明快な判決内容
全国20地裁・支部で続く東電や国を相手取った訴訟の中で、福島地裁での「生業(なりわい)訴訟」は特に注目されてきた。地元福島での裁判であるだけでなく、原告の数は全国最多となる約4160人を数える。そのうち第一陣の約3800人に対する判決で、「裁判所は原告が特に期待していた国の責任を全面的に認めた」(原告弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士)。
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