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標準的な努力で習得できる表現法(3) 知的生産の継続には財力と友人が必要

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職業作家にとっても、自分が頭の中で考えていることを正確に文章にすることはとても難しい。筆者の場合、考えている事柄の6割程度しか文字にすることができないこともある。それでも、2005年に職業作家としてスタートした時点では、頭の中で練った構想の2割も文章にすることができなかった。

渡部昇一氏も、作家活動を始めた頃に、筆者と同様の悩みを持ったようだ。渡部氏は、〈これから自分も文章を書こうと思われる方に関心を持ってもらいたいことは、文章力をどう高めていくかということです。いくら言わんとする内容がよくても、文章表現力が乏しければ読み手に伝わらないのが、文章だからです。〉(渡部昇一『知的人生のための考え方』PHP新書、2017年、121ページ)と指摘するが、そのとおりである。

それでは、具体的にどのような方法を取れば文章力が向上するのだろうか。優れた文章をまねることの重要性を渡部氏は説く。

〈そこでお勧めしたいのは、フランクリン式文章上達法です。ベンジャミン・フランクリン(一七○六~一七九○年)は、イギリスの文芸的日刊紙である「スペクテイター」の文章の素晴らしさに感銘し、自分もそのような文章力をつけたいと思ったのです。そこで彼は、真似をすることから始めました。その方法は、「スペクテイター」を読んで、そこから各文章の趣旨を示す短いヒントを書き、数日寝かせておいてから、原文を見ることなくそのヒントに書いた趣旨に基づいて、頭の中で単語をひねくりだし、文章を再現するのです。そして自分で書いた「スペクテイター」と実際の「スペクテイター」を比較し、自分の文章の欠点や語彙不足を発見し、修正していくというやり方です。

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