4月7日、第46回大宅壮一ノンフィクション賞(日本文学振興会主催)の選考会が東京都内の日本外国人特派員協会で行われ、書籍部門で毎日新聞科学環境部の須田桃子記者(39)の『捏造(ねつぞう)の科学者 STAP細胞事件』(文芸春秋)が選ばれた。
〈「捏造の科学者」はSTAP細胞論文の発表から、疑義が浮上して根拠が崩れていく経緯を克明に描いた。選考委員の梯久美子氏は、選考会後の記者会見で「世間の注目を集めた事件を、類いまれな取材力と文章力で表した知的かつ迫真性に満ちたルポルタージュだ」と評した。
須田記者は2001年入社。水戸支局を経て06年から科学環境部に所属し、生命科学や再生医療などを担当してきた。受賞の会見で「STAP事件は科学への信頼を著しくおとしめた。科学を愛する一人として憤りを感じながら取材を続けてきた」と振り返った。〉(4月8日「毎日新聞」朝刊)
筆者も大宅賞書籍部門の選考委員である。須田氏の『捏造の科学者』を強く推した。この連載では現在、「どのような書き手、記者、評論家が信用できるか」というテーマについて扱っている。その点で『捏造の科学者』は、まさに信用できる記者が書いた作品の典型例だ。この本から学ぶべきことは多い。
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