前回までの連載で、ソ連の民族問題について取り上げた。民族問題は自民族(文化)中心主義が出やすいので、客観的で実証的な分析が難しい。カントリーリスクについて考える場合にも、民族や宗教のように目に見えないものをどう評価するかが、重要な位置を占めている。
こういう話をすると、「日本人にとって民族問題は皮膚感覚として理解しにくい。どうすれば民族問題の勘所をつかむことができるか」という質問を寄せる読者が必ずいる。実を言うと、日本でも国際基準で見ると、民族問題が火を噴き始めている。東京の中央政府に対する沖縄の異議申し立ては、国際基準で見た場合、植民地からの民族の自己決定権強化を志向している。しかし、全国紙やテレビの報道ではこの現実がよくわからない。
沖縄の新聞を読むと、事態が深刻な状況に至っていることがわかる。4月5日、那覇市内のホテルで沖縄県の翁長雄志知事が菅義偉官房長官と会見した。6日付「琉球新報」は、1面トップで〈「キャラウェイと重なる」/知事、弁務官例え批判 菅官房長官と初会談〉との見出しをつけて、こう報じた。
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