どの組織にも不満分子はいる。「不満分子など放っておけばいい。仕事で成果を上げさえすれば、不満分子など無視しても構わない」と考えるやり手のビジネスパーソンも多いと思う。しかし、それは大きな間違いだ。外務省内の不満分子について対策を取らなかったことが、筆者や鈴木宗男氏が東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、さらにはロシアスクール(外務省でロシア語を研修し、対ロシア外交に従事することが多い外交官の語学閥)の首領(ドン)だった東郷和彦氏(元外務省欧亜局長)が海外「亡命」を余儀なくされることにつながったからだ。
具体的な事情は異なるとしても、組織内で見解が分かれている大きなプロジェクトに取り組むようなとき、周囲に不満分子が必ず生まれる。だからこそ、筆者が経験した事柄について、あえて人間関係の機微に触れる部分を丁寧に書いてみる。
1997~2001年に、北方領土交渉が急進展した。当時の橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の3首相が北方領土返還に政治生命を懸けていたからだ。もっとも北方領土交渉について、日本政府は国民に対してウソはついていないが、事実を説明していないことがたくさんある。たとえば、51年のサンフランシスコ平和条約第2条C項で日本は明示的に千島列島を放棄したが、そこに国後(くなしり)島と択捉(えとろふ)島が含まれていたということだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら