安倍晋三首相が提起した憲法9条の改正案が、野党はもとより、自民党内からも強い反発を受けている。自民党内の議論を無視したばかりでなく、国会で続いていた与野党の憲法論議に水を差したためだ。
2012年、自民党総裁に復帰して以降、衆参両院の選挙で2回ずつ勝利して、一強といわれてきた安倍政権だが、この憲法論議が風向きを変えるのかどうか。永田町はざわつき始めた。
安倍首相は5月3日の憲法記念日に向けて、自民党総裁として新たな憲法改正案を打ち出した。読売新聞のインタビューに答え、改憲派の集会ではビデオメッセージという形で発信した。内容は憲法9条の1項(戦争放棄)と2項(戦力の不保持)は変えず、新たに3項で自衛隊を明確に位置づけ、20年には改正憲法を施行したいというものだ。
これには自民党内から反発の声が出た。自民党はもともと、09年に野党に転落した際、当時の谷垣禎一総裁の下で新憲法草案をまとめた。憲法9条に関しては、戦争放棄の原則は維持しつつ、戦力の不保持を改め、国防軍を新設するという内容になっている。
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