石炭火力発電所の建設計画が日本各地で相次ぎ、二酸化炭素削減の国際公約達成が危うくなっている。なぜ日本は世界の潮流に反し石炭火力の増設に向かうのか。建設計画をめぐる地域の動きと併せ、背景に迫る。
宮城県の仙台港に面する一角。10月の完成を目指し、石炭火力発電所の建設工事が終盤を迎えている(上写真)。関西電力の子会社である関電エネルギーソリューションと伊藤忠エネクスの子会社を株主として設立された「仙台パワーステーション」が運営主体だ。環境影響評価(アセスメント)が義務づけられていない小規模発電所で、住民向け説明会を開催せずに着工された。
関電エネルギーソリューションは仙台パワーステーションに関して、「今年3月8日に自主的な説明会を開催し、4月からホームページ上でお問い合わせ欄を設けた。運転開始後は、大気や水質などの環境負荷情報を、ホームページを通じて適宜公表していく」と説明する。
だが、地域住民の視線は険しい。
「公聴会の開催を求めた私たちの請願が、県議会で全会一致により採択されたために、説明会を急きょ開催したにすぎない。大気汚染や近隣にある干潟への影響を含め、事業者はきちんと環境影響を検証していない」(「仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会」共同代表の長谷川公一・東北大学大学院教授)
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