有料会員限定

大気汚染や温排水に住民の不安が高まる 東京湾岸で石炭火力建設計画が目白押し

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

千葉市臨海部のマンションで暮らす60歳代の男性は、南風が吹くたびに押し寄せてくる黒い粉塵に悩まされている。

「2~3日そのままにしておくとベランダの手すりに真っ黒なチリがこびりつく。9年前にここに引っ越してから肺気腫を発症し、今も病院通いを続けている」

石炭火力発電所の建設予定地の方角を眺める千葉市の男性。今も黒い粉塵に悩まされている

特集「石炭火力ラッシュの罠」の他の記事を読む

男性が見つめる南の方角には、JFEスチールの製鉄所がある。自宅からおよそ3キロメートル。その製鉄所内の遊休地に石炭火力発電所を建設する計画が突如持ち上がったことを知り、男性は腰を抜かさんばかりに驚いたという。

男性らマンション住民が、建設計画があることを知ったのは2015年秋。広島市に本社を置く中国電力とJFEスチールは翌16年11月7日、石炭火力発電所の共同開発検討に着手することで合意。同年12月19日には「蘇我火力発電所」の建設計画に関する「計画段階環境配慮書」を、経済産業相や千葉県知事、千葉市長などに送付した。

そして今年4月3日には、両社が共同出資して事業運営会社「千葉パワー」を設立。それまで「20年代中頃」とあいまいだった運転開始時期を「24年」と明確に定めた。出力は約107万キロワットと原子力発電所1基分に相当する規模だ。千葉パワーの株式の73%を握る中国電力は、蘇我火力の電気を武器に首都圏で販売攻勢をかける考えだ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内