エンゲル係数低下が止まった日本の病巣 国民の生活水準を犠牲に巨利稼ぐ
経済発展の最も有名な指標の一つである「エンゲルの法則」によると、ある国が豊かになれば、家計に占める飲食費の割合(エンゲル係数)は低下する。農業と食品加工における生産性の向上によって、食品価格が大幅に低下するからだ。
エンゲル係数の低下に伴い、人々は収入を食費でなく、住宅や車、電化製品、休暇、服装や宝飾品といった他のものに回すことができる。それこそが豊かさの象徴といえる。
日本も終戦直後、食料不足や困窮に見舞われ、一般家庭のエンゲル係数は6割程度だったが、その後低下傾向を続けてきた。
しかし、この流れは2005年前後に止まっている。総務省の統計によると、05年の2人以上の世帯のエンゲル係数は22.9%だったが、13年には23.6%となり、15年には25%に達した。これは過去30年間で最高の水準だ。
逆転の理由の一つは消費増税に伴う食品価格の上昇。もう一つの理由は円安によって輸入品価格が上昇したことだ。日本の食品の多くは輸入品で、円安は日本の消費者から海外生産者への所得移転ともいえる。
第2次安倍晋三内閣が発足してからの4年間で食品価格は11%上昇した。対照的に食料やエネルギーを除く物価の上昇率は3%だ。これは奇妙なことではない。エンゲルの法則によると、人々が所得の多くを食料に費やす必要がある場合、他の品目に費やす余裕は小さくなる。
エンゲル係数が減少傾向にあった時分にも、日本は農産物や食料品に対する保護主義的な政策を取り、国内の消費者は他国よりも多額の所得を食費に回す傾向があった。
安倍政権が日本人の生活水準を上げ、経済成長や消費支出増を実現したいならば、米国が撤退したとはいえ、TPP(環太平洋経済連携協定)協議で約束した輸入関税引き下げに踏み切るべきだ。そして、JA(農業協同組合)を独占禁止法の適用外とする規定も撤廃すべきだろう。
ただし日本の最大手5000社の直近の収益状況を見ると、営業利益が金融危機前の07年比で5%近く減っている一方、経常利益は07年より約15%増えている。その差の要因は海外での利益拡大である。
安倍政権の優先事項は日本人の生活水準の向上ではないのだろう。“日本株式会社”は、国内が飢餓状態になっても巨額の利益を上げる方法を学んでいるといえる。






















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