真夏日が続く中、各地でプレミアム商品券を買い求めようという消費者の長い列ができ、熱中症で搬送される人が出たほどだった。
プレミアム商品券とは、販売金額に一定の割増額(プレミアム)を乗せた商品券のこと。設計は自治体ごとに微妙に異なるが、1万2000円分の商品券を1万円で購入できるものが多い。プレミアム分、お得に買い物ができる。
これは今年2月成立の2014年度補正予算に盛り込まれた政策で、3月時点で1589億円の事業費が計上されている。ほぼ全国の市区町村が事業を実施もしくは計画。「弱さが見られる個人消費の喚起と、地方にアベノミクスの成果を行き渡らせるのが狙い」(内閣府)だ。
今年4~6月のGDP(国内総生産)は年率1.6%のマイナス成長。内閣府は「商品券が販売開始となった7~9月期に消費喚起の効果が出てくるだろう」と期待する。
しかしこの消費喚起策、評判はあまり芳しくない。まず、広く薄く予算を交付しているため、「バラマキ」との批判がある。また、全住民の需要を満たすほど予算は大きくなく、商品券を購入できた住民とそうでない住民とで不公平も生じる。
みずほ総合研究所の試算によると、ふるさと名物商品・旅行券なども含めた今回のプレミアム商品券の発行による消費押し上げ効果は640億円。事業総額約2500億円に対し、約25%。徳田秀信・主任エコノミストは「公共投資と比べ、GDP押し上げ効果は小さい」と話す。
過去に行われた同種の消費喚起策としては、地域振興券や定額給付金があった。いずれも消費喚起効果は、使われた予算の3割程度だった。「効果は予算の3割」というのが、“相場”といえそうだ。
反動減も心配だ。日本リサーチ総合研究所の藤原裕之・主任研究員は「商品券を買うために炎天下で行列を作るほど、消費者の懐具合の実態は厳しいということではないか」と指摘する。
家計調査を見ると、2人以上世帯の食品の消費支出は13年第2四半期以降、名目では増加が続く。しかし、実質ベースでは14年第2四半期以降15年第1四半期までマイナス領域に転落している(図表1)。消費支出が増えているように見えるのは物価上昇のせいで、消費者は購入数量を減らしていることを意味する。
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「特に13年後半以降、名目と実質の乖離が大きい。消費者は生活パターンを簡単に崩さず、いつも同じスーパーに行って同じ買い物をするが、買う数量を減らしている。つまり、消費者の効用は下がっている」(藤原氏) 食品の内訳に注目したのが図表2。肉類は価格が上昇しても購入数量に大きな変化はないのに対し、魚介類や野菜などは価格上昇とともに消費数量が明確に落ちている。食品価格高騰の中、「肉独り勝ち」の傾向もうかがえる。
商品券フィーバーの背後にある消費者の実態に、もっと目を凝らす必要がある。
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