9月のFOMC(米国連邦公開市場委員会、16~17日)でFRB(米国連邦準備制度理事会)が政策金利(FFレート)の利上げに踏み切るかどうかが、市場の最大の焦点になっている。
IMF(国際通貨基金)が2016年上期への先送りを提言し、市場関係者が警戒する中、イエレンFRB議長は「年内利上げが適切」(7月15日議会証言)と繰り返してきた。7月のFOMC声明文では、「労働市場がさらに一段の改善を示すとともに、インフレが2%の中期目標に向けて上昇していくとの合理的な自信が持てた時点で、利上げを始める」と条件を示し、時期は特定していない。
ただ、8月4日には、利上げに慎重なハト派と目されるアトランタ連邦準備銀行のロックハート総裁が「9月利上げが適切」とコメントした。
みずほ総合研究所の主席エコノミストでFRBウォッチャーの小野亮氏は利上げ時期をかねて9月と予測し、その後は、極めて緩やかな利上げを予想している(図表1)。
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イエレン議長は「利上げの開始時期が遅れれば、その後の利上げペースがより速くなるが、早めに開始すれば、利上げペースが緩やかになる」と議会証言で述べていた。
その意味を小野氏は、「利上げペースが急激になれば、1994年以降の利上げのときや、13年のテイパータントラムのような長期金利の急騰を招くおそれがある」と解説。
一方、早めに1回目の利上げを行い、その後も景気の様子を見ながら、ゆっくり利上げを行えば、「長期停滞論を唱えるサマーズ元財務長官が投げかけた『景気とインフレに中立的な金利水準はもっと低いのではないか』という疑問についても、検証できる」と話す。長期金利が上がらないのに、政策金利を引き上げたことで景気が悪化すれば、その指摘は正しかったことになるし、そうでなければ、説得力を持たなくなるからだ。
米国の景気回復がさほど力強いものではないことが、しばしば指摘される。特に、インフレ率の低さが問題とされてきた。この点について小野氏は、足元ではコアインフレ率は安定しており、「刈り込み平均で見た趨勢的なインフレ率は下振れもしていない」(図表2)と分析している。
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そうなると、イエレン議長が警戒する海外の状況と、為替などを通じた米国経済への影響次第ということになる。
この点、ギリシャ危機、中国株価の急落と人民元切り下げなどによる市場の動揺はとりあえず収束しつつある。
ただし、新興国からの資金流出は続いている。欧州や日本の4~6月期GDP(国内総生産)も不調だった。ドル高が進むリスクはある。
小野氏は、「9月4~5日のG20財務相・中央銀行総裁会議でイエレン議長は、グローバルな投資家を意識して、利上げへ向けて、市場の動揺を抑えるための口先介入を行うのではないか」と見る。
9月初めから中旬まで、金融市場は再び神経質な展開となりそうだ。
テイパータントラム 2013年5月、当時のバーナンキFRB議長が量的緩和策の縮小に言及、新興国からの急な資金流出など混乱が起きた。
刈り込み平均 極端に価格が変動している特定品目を除いて趨勢を見たもの。変化率分布の両端を控除していく。
欧州や日本の4~6月期GDP 2015年4~6月期の欧州のGDPは前期比プラス0.3%で市場予想より弱い回復。日本は同マイナス0.4%に沈んだ。






















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