世界最大の資産運用会社米ブラックロックによると、今年6月末の世界のETF(上場投資信託、ETN〈上場投資証券〉を含む)純資産額は2兆9450億ドル(約362兆円)と半年前に比べ1480億ドル(約18兆円)の増加となった。昨年上期の増加幅を227億ドル上回った。
金融緩和を背景とした日米欧の株高が後押ししたほか、「株式や商品だけでなく、ハイイールド社債や国債などあらゆるグローバルな運用対象にETFという同じプラットフォームで投資できる点が受けている」と、ブラックロック・ジャパンの増岡博史ヴァイスプレジデントは話す。
株を原資産とするETFを中心に機関投資家の長期運用対象になっているが、一方で短期性資金も多くを占める。
今年上期のETFのマネーフローを見ると、米国と新興国の株式から資金が流出し、欧州やアジア太平洋の株式、債券へ多額の資金が流入している(図表1)。新興国株は米国の利上げ見通しやドル高の影響が嫌気された。米国株も利上げ観測に加え、「企業業績が飛び抜けてよいわけでもなく、株価が相対的に高くなっており、くたびれ感がある」と増岡氏は言う。
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欧州株は出遅れ感から買われていたが、7月にはギリシャ危機再燃で流出があった。
最も継続的に資金が流入しているのが日本の株式だ。日本銀行の質的・量的緩和によるETF購入(年3兆円)の影響も無視できない。現在、東京証券取引所上場のETFは純資産額約14.5兆円だが、そのうち日銀保有分は8兆円程度とみられている。
こうした中、世界のETF市場で注目を浴びているのが債券ETFだ。今年上期の資金流入額は株式ETF全体に及ばないが(図表1)、純資産額はまだ株式ETFの2割にすぎないため、伸び率では断トツ。今年上期の資金流入額は純資産額の10%に達した。
債券ETFは投資銀行やヘッジファンドも盛んに売買している。リーマンショック後の規制強化に対応し、先物取引の代わりに債券ETFのカラ売りを行ったり、クレジットデリバティブの代替でハイイールド社債ETFを売買したりするケースが目立つ。
2007年の規制緩和でようやく商品の多様化が始まった日本のETF。最近はグローバル市場を運用対象とするETFが増え、国際的なマクロ経済環境の変動が大きな投資機会になっている。
たとえば7月に暴落した中国株。図表2のように上海総合指数連動など中国株式関連ETFの1日当たり平均売買代金は昨夏まで数千万円にすぎなかったが、中国株の急騰を受けて人気化し、7月には18億円強に達した。「暴落後、多数の中国株銘柄が売買停止になり、それを組み込んだ投資信託では購入や解約の停止が相次いだ。しかしETFは取引所で保有者間の売買ができてストップしなかった。投資機会を与えた意義は大きい」(野村証券の塩田誠ETFマーケティング・グループ長)。
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原油価格下落の逆張り投資で石油ETFの純資産額が過去半年で数億円から約900億円に増えたほか、ギリシャ危機によりVIX指数に連動するETFも売買が伸びた。
個人でも手軽にヘッジファンドと同じ投機的な売買を行えるETF。リーマンショック後のカネ余りを象徴する金融商品になっている。
クレジットデリバティブ 企業などの債務不履行リスクを取引する金融派生商品。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が代表的。
上海総合指数 上海証券取引所に上場する全銘柄を対象とした株価指数。流動性の高い50銘柄を対象としたETFもある。
VIX指数 S&P500のオプション取引の価格変動を指数化したもの。別名「恐怖指数」。世界的な株価下落時に上昇しやすい。





















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