英国のケンブリッジに滞在して2カ月になる。中心部は小さな大学町であるが、そこを歩いていて気づくのは、どことなく人々が明るく、秩序だっていることである。ロンドンの猥雑な雰囲気はないし、かつての炭鉱地域として経済の地盤沈下が著しいといわれたイングランド中央部が停滞感に覆われていたのと比べても、華やいでいる。そして、ここは、EU(欧州連合)離脱の投票で、残留とした人が7割を超えた地区である。
世界トップを争う大学を中心に、グローバル化に見事に適応した地区というべきであろう。そこで違和感を覚えざるを得ないのは、会話を交わしたり、大学人の文章を読み進めたりしていると、EU残留を唱える人々が、離脱を唱える人々の心理について、まるで無関心に見えることである。
2月27日の英フィナンシャル・タイムズには、極右のポピュリズムにではなく左と右の中間である「中央のポピュリズム」に警戒すべきであるという論説が寄せられた。今年はオランダ第二院総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ連邦議会選挙などが予定されている。そこで極右政党が得票を伸ばすことは、EUにとっても世界にとっても危機的である。だからこそ根っからの極右政党の支持者ではなく、ごく普通の「中央」の人々が極右政党に投票することを警戒すべきだという。
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