天皇陛下の退位を実現するための法整備に向けて、大島理森衆議院議長ら衆参両院の正副議長が、国会としての見解取りまとめを本格化させている。
2月20日に8党と参議院2会派から意見聴取を行ったのに続き、3月2、3日両日に全党派が一堂に会する全体会合を開くなど意見調整に乗り出している。大島氏らは3月中旬ごろ見解をまとめ、政府に伝達する見通しだ。政府はこれを踏まえ、一代限りの特別法を4月下旬〜5月上旬の間に国会へ提出したい意向だ。
あらかじめ国会の見解を受け取ったうえで政府が法案を提出するというのは、極めて異例な手順だ。議会、具体的には衆院の多数派が内閣を構成する議院内閣制を採る日本では、与党の考えを踏まえて政府が法案を作るのが一般的で、今回のように野党の意見を明確な手続きで事前に政府が把握することは前例がない。
一見、与野党の意見に耳を傾けているようで好ましく思えるが、法案提出後の審議が形骸化する可能性を秘める。自らの意見を取り入れている法案となると検証の矛先が鈍る可能性があるからだ。それが常態化すれば結果的にではあるが大政翼賛状態に陥りかねない。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら