中国で労使対立が顕在化している。非正規労働者をめぐる環境が激変する一方、政府の締め付けでNGOも機能不全となり閉塞感が強まってきた。
成長の鈍化に伴い、中国経済には解決の長引きそうな問題が重くのしかかっている。今後深刻さを増すと考えられる労使間の対立をどう解決していくか、という問題もその一つであろう。労働コストの高騰による日系企業の「東南アジアシフト」が喧伝される中、中国の労働問題はどのような局面を迎えているのだろうか。
中国、特に出稼ぎ労働者が多い珠江デルタなどにおける労使紛争の解決においては、これまでNGO(非政府組織)が大きな役割を果たしてきた。これは、中国で労働組合に当たる「工会」が、基本的に共産党の「助手」としてその労働政策を支えるものになっており、労働者からは自らの利益を代表する組織とは見なされてこなかったことの裏返しである。
労働NGOの活動に政府が敏感に反応
特に珠江デルタの経済発展を支えてきた農村からの出稼ぎ者(農民工)を中心とする非正規労働者の置かれた厳しい労働環境の改善は、もっぱら香港や海外ともつながりを持つ労働NGOによって担われてきた。これらの労働NGOは、労働者への法律面でのサポートや労使の仲介を行うなど、工会の機能を補完する存在として、基本的に政府からもその活動を黙認されてきた。しかし近年、体制の安定にとって不安材料である労使紛争の動向に政府が敏感に対応するようになった結果、強制的な閉鎖が相次ぐなど、厳しい状況に追い込まれている。
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