英国のEU(欧州連合)離脱は、地域統合による政治・経済の安定を目指してきた戦後世界にとって、大きな節目となるだろう。
底流には、移民受け入れへの抵抗感や市場開放への反発といった意見に便乗する政治的ポピュリズム(人気取り)が見て取れる。米国大統領選挙で共和党候補となるのが確実なトランプ氏にも通じる傾向だ。日本でも、国民の嫌がる消費増税を先送りして選挙を有利に戦おうというポピュリズムが勢いを増している。このポピュリズムの流れは止まるのか、そして、止めるのは誰なのか。
英国の国民投票でEU離脱派が多数を占めた理由は、1.経済が低迷する中、東欧などからの移民に雇用を奪われた人々の不満、2.グローバル化で首都ロンドンが繁栄する一方で、地方は疲弊していることへの反発、3.ブリュッセルのEU官僚たちが進める経済統合に対する不信感──といったところだ。多くの有権者は理念先行のグローバル化に疑念を抱き、日常の暮らしを脅かす動きに反発を強めたのである。
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