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『サイロ・エフェクト』『勤勉は美徳か?』 『幕末維新を動かした8人の外国人』『「統計」の読み方・考え方』

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サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠
サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠(文藝春秋/365ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Gillian Tett●フィナンシャル・タイムズ(FT)米国版の編集長であり、FT有数のコラムニストとして政治、経済をはじめ幅広いテーマで執筆。1993年にFTに入社する前は、文化人類学者だった。旧ソ連のタジキスタンの小さな村に3年暮らし、結婚慣習を観察している。

文化人類学的視点でビジネスを分析

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

アダム・スミスの教えは、専門化による分業の利益だった。複雑化する社会ではより高度な専門性が必要で、分業の利益は大きい。ただ、組織が拡大すると、各部門がむしろ専門性にとらわれ、弊害も現れてくる。

サイロとは穀物を保管する貯蔵庫のことで、米国ではほかから隔絶して活動するシステムや組織を指す。サイロ・エフェクトは「たこつぼ現象」を意味し、全体最適を目指していた組織がいつの間にか機能不全に陥る。

著者は世界的に知られたジャーナリストで、見習いとしてフィナンシャル・タイムズに入社する前は文化人類学者として、部族の調査で世界の辺境を飛び回っていた。サイロは突き詰めると文化現象で、人がどのように組織を作り、社会的ネットワークを形成し、目の前の事象を類別するか、そのパターンは伝統や慣習など文化に大きく左右されるという。経営学や経済学ではなく、文化人類学的視点でビジネスを分析する。

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