再生エネ“幕引き"の深層 検証 震災5年、日本の電力[後編]
国の再生可能エネルギー政策に、幕引きムードが強まっている。経産省では電力会社など抑制派の発言力が強まり、自民党では原発推進派議員による巻き返しが始まった。
風力発電の国内大手、グリーンパワーインベストメントの堀俊夫社長は、取引銀行が放った一言に声を失った。
「この場所が無制限の出力抑制対象となるなら、融資は難しい」
グリーンパワー社は6年ほど前から、北海道・石狩湾新港沖に10万キロワット分という国内最大級の洋上風力発電所の建設計画を進めてきた。
石狩湾沖は強い風が吹き、事業拡張余地も大きいと目を付けた。2013年には地元漁業組合も計画に同意した。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投資銀行の3行が融資面でサポートする見通しとなった。そして昨年には公募に当選。
風力事業者を混乱させた、経産省のある「告示」
堀社長は言う。「来年の着工を予定していました。でもこれでスケジュールに遅れが出るどころか、できるかどうかすらわからなくなった。私も30年近く風力ビジネスに携わってきたが、こんなひどい経験は初めてだ」。
銀行が態度を変えたのは昨年12月16日、経済産業省が官報に載せた小さな告示がきっかけだ。
「北海道電力と東北電力を風力発電設備の指定電気事業者に認定する」。簡潔な文言とは裏腹に、それは国内風力事業の先行きに深刻な影響を及ぼすものとなった。
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