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「赤色警報」の大気汚染 中国社会の断裂広げる

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この10年ほど社会問題化してきた中国の大気汚染はいよいよ危機的なレベルに。政府の対策や汚染源への対応をめぐって市民の不満は高まっている。

汚染が深刻な北京では初の「赤色警報」が出た。写真は12月9日朝、天安門広場で「自撮り」する女性。(ロイター/アフロ)

中国の大気汚染が危機的な状況に達している。北京市では2015年12月8日、微小粒子状物質PM2.5などによる汚染が深刻化するおそれがあるとして、最高レベルの「赤色警報」が初めて発令された。誰でも呼吸しないわけにはいかず、健康被害に直結しかねない問題であるだけに市民の間では不安と不満が急速に高まっている。

中国の大気汚染はこの10年ほど徐々に社会問題化してきたが、15年の状況はまさに危機的だ。PM2.5の値は1立方メートル当たり500マイクログラムで最悪ランクの「破滅的状況」を示すが、11月30日午後6時前後には北京市西南部で、その2倍に達する1000マイクログラムを記録。前後24時間の平均も745マイクログラムに達した。遼寧省瀋陽市では11月中に最高1400マイクログラムという値を記録している。

1000マイクログラムという値は1950年代のロンドンで大気汚染により1万2000人以上の死者が出た当時の水準に相当するとの報道が流れ、市民の間に強い不安が広がった。政府は「当時とは医療水準も違う。単純な比較はできない」などと反論したが、前述の瀋陽市では一時、不安を感じた市民が病院に殺到しパニック状態に陥ったとの報道もある。

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