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固定資産と繰延税金資産の“地雷" 2次損失の発生で赤字転落も

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2014年5月、東芝は14年度に過去最高営業利益(1989年度3159億円)、15年度に同純利益(10年度1378億円)、そして16年度に同売上高(07年度7兆6681億円)を目指すとブチ上げていた。だが、高みを望む“土台”(実績)は、虚飾にまみれていた。

大目標は佐々木則夫社長のときにもあった。リーマンショック前の利益水準に回復した10年度決算を受け、11年5月の経営方針説明会で、13年度に売上高は当時の3割増となる8.5兆円、営業利益は倍以上の5000億円を目指すと示している。結局、佐々木社長時代の業績は10年度がピーク。東芝OBは「11年の東日本大震災ですべて狂った」と振り返る。当時、06年に買収した米ウエスチングハウスをテコに、15年度の売上高1兆円を掲げていた原子力発電事業は、直近で6000億円前後にとどまる。

一方、13年から指揮を執った田中久雄社長は、成長に加えて財務改善にも重点を置いた。実際、11年度と12年度のフリーキャッシュフロー(FCF)はマイナス。13年度はプラスに転じたが、当初予想した1200億円の3分の1程度だった。一因には、売上高がほぼ横ばいの中、年々増加している売上債権が挙げられる。13年度の売上債権の回転日数は80日台と、08年度に比べて約20日も長くなっている。FCFが見込みを下回れば、財務改善が思うように進まず、さらなる成長に向けた投資余力も限られる。そうしたこともあり、14年の経営方針説明会で田中社長は、16年度に13年度比で3倍となる1200億円のFCF創出を目指す、と打ち出していた。

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