株主軽視をする是正する動きが強まっている。企業と株主の関係は新たな時代を迎えた。
「麻生財務大臣は利益を内部にため込む企業を『守銭奴』と批判していたが、当社はまさに押しも押されもせぬ立派な守銭奴です」
今年3月、業務用冷凍冷蔵庫大手の大和冷機工業の株主総会で、ある男がかみついた。「御社」ではなく、「当社」と言うのはなぜか。それはこの人物が「会社はあくまで株主のものだ」と考えているからだ。経営者にここまで直言する人物はそういないだろう。だが、元「村上ファンド」の幹部だった彼から見れば、ごく普通のことなのである。
時代がもう許さない 「モノ言わぬ株主」

2013年の西武ホールディングスのように株主総会の緊張度も増す(撮影:尾形文繁)
都内にある事務所を訪ねた。鋭い視線、こわもての人物を想像した。しかし、現れたのは丸顔の穏やかそうな男性である。語り口調も実にソフトだ。その人物とは丸木強氏。運用会社ストラテジックキャピタルの創業者である。野村証券を経て、中学高校の同級生だった村上世彰氏が立ち上げた村上ファンドに参加した。2006年に村上氏がニッポン放送株をめぐる証券取引法違反で逮捕された後は、ファンド解散の手続きを陣頭指揮。その後、12年にストラテジックキャピタルを設立した。
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