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モンベル会長 辰野勇 登山家を志した少年の夢が有力用品メーカーを作った

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アイガー北壁の登攀(とうはん)記に感激した少年は、長じて登山用品メーカーを起こす。ユーザーの視点で作られる製品は、多くの人から支持されている。

大阪市西区の本社向かいにあるショップで。ウエア、テント、バックパックなど、さまざまなアウトドア用品が並ぶ(撮影:ヒラオカスタジオ)

4月のある土曜日、大阪港に近い巨大展示場、「インテックス大阪」が人でごった返していた。テント、自転車から始まり数々のアウトドア用品が並べられ、アウトレット品の販売コーナーもある。水を張ったプールではカヌー体験ができ、人口の岩ではロッククライミングが楽しめる。子供たちの歓声が会場に響き渡る。

日本有数のアウトドア用品メーカー、モンベルの会員向けイベント「フレンドフェア」の様子だ。

午後1時を回った頃、袖をまくり上げたシャツを羽織り、足にはスポーツシューズを履いた人物が、会場内の舞台に登場した。辰野勇(たつの・いさむ)、67歳。モンベルの創業者であり、現在は会長の職にある。

1975年創業のモンベルは今年40周年を迎えた。辰野は観客、つまりモンベルのコアな顧客に対して、創業以来の歩みを振り返り謝意を伝えると、手元に横笛を取り出し哀調を帯びた曲を吹き始めた。3曲を披露。

拍手で送られた辰野は場所を移動すると、最近刊行された著書のサインに応じ記念写真に収まる。いでたちを含め、社員850人、グループ年商540億円(2014年度)の企業グループのトップとは思えない軽みがある。

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