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『日本財政「最後の選択」』『対米依存の起源』 『シャープ「液晶敗戦」の教訓』など

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日本財政「最後の選択」
日本財政「最後の選択」(日本経済新聞出版/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
いとう・たかとし●政策研究大学院大学教授、米コロンビア大学教授。1950年生まれ。米ハーバード大学経済学博士(Ph.Dを取得)。米ミネソタ大学准教授、一橋大学教授、IMF(国際通貨基金)調査局上級審議役、大蔵省副財務官(大臣官房参事官)、東京大学教授などを経る。

消費税率20%の最低限の改革案を提案

評者 BNPパリバ証券 経済調査本部長 河野龍太郎 

内閣府の試算では、名目3%の高成長が続いても、2020年のプライマリー収支はGDP(国内総生産)比で1.6%の赤字が続く。現在、160%まで上昇した公的純債務のGDP比を安定的に低下させるには、評者の試算では、消費増税のみで対応する場合、税率を16%とする必要がある。名目1%成長を前提にする場合は19%の税率が必要だが、政府は10%以上の消費増税は当面検討しないと表明している。資本蓄積の観点から言えば、増税だけでなく歳出削減での対応も必要だが、その場合、不可欠となるはずの社会保障費削減の具体策は検討されていない。日本は財政危機を避けられるのか。

本書は、日本を代表するマクロ経済学者が財政再建の道筋を探ったものだ。主張は明快で、今後数年の財政健全化の努力次第で、危機回避が可能かどうか決まるという。財政危機を民間が国債購入に充てることができる貯蓄額を超える国債を発行しなければ財政が賄えない状態と定義。国内貯蓄で賄えなくても、資本輸入すればよいという意見もあるが、海外から資本を惹きつけるには十分金利が上昇する必要があり、その場合、利払い費増大で財政が耐えられなくなるから、本書の定義は適切だ。

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