今年の日中関係は歴史問題が大きなカギとなるが、中国では最近、対日批判のトーンを弱める動きが出ている。その背景にはいったい何があるのか。
これといったヤマ場がないまま終わってしまった──。
3月15日に北京で閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に対して、多くのメディアはそんな評価を下した。だが、筆者が全人代終了後に接触した共産党中央関係者のD氏は、そうした見方を一蹴する。
「今回の全人代のテーマは明らかでした。一つは『反腐敗』。そしてもう一つは『外交』です。特に後者では、会議の前から大きな方向転換を示すシグナルがいくつも見つかりました。中でも対日関係を大きく変えるための前提づくりができた」
日中関係の今後の日程を見れば、やはり最大の焦点は9月に中国が準備している抗日戦争勝利70周年記念行事(以下、70周年)だ。その性格を党はいま大きく変えようとしているという。そもそも中国には、70周年で「日本は侵略者であり、中国は侵略者を打ち負かした連合国の一員である」という位置づけをはっきりさせたいという狙いがあった。
「しかし、政府各部門の報道官などの発言を見ても、昨年末からは明らかに『歴史を鑑とする』ことより『平和の尊さ』を確認し『未来に向かう』行事であることを強調するようになった。中でも最終日の李克強首相の発言は、王毅外交部長(外相)の発言のトーンを弱めるためにわざわざ行われました」(D氏)
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