二つの星 山崎光夫著
文化勲章受章の片岡球子や大久保婦久子、さらに三岸節子など、多くの傑出した画家、工芸作家を生み出した女子美術大学(通称女子美)。1世紀を超える歴史を持ちながらも、特異な存在であるのは、世界に女子の美術大学が二つ(もう一つは米国)だけという事実に示される。
それだけ、創設以来の苦労は並大抵ではなかった。本書によれば、女子美には「二人の親がいるという。生みの親が横井玉子で、育ての親が佐藤志津」。この二人が「二つの星」となって同校の行く末を形づくった。
女性本来の力とその美しさを肯定し、芸術表現を通して社会に貢献する人材を養成する。この創設者の「魂」が、女子美の長命と実績を生み出すのに大いに貢献したようだ。
企業社会においても、長寿企業は独自のコンセプトで市場を切り拓く例が少なくない。時代の潮流に流されずに厳然として生きる創造性の実例を、本書は指し示している。
講談社 1890円
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