福島雅典 医師、臨床研究情報センター長 正論つらぬく反逆の医師 「クスリの開発に科学を」
インフォームドコンセントにも科学的な臨床試験にも無頓着だった日本の医学界。それに憤った医師は今、日本の臨床試験を牽引する。
医師でありながら医療のあり方に公然と反旗を翻し、煙たがられながらも「正論」を貫いてきた。医学界に歯向かっていただけなら、単なる異端児で終わっていただろう。だが、福島雅典(ふくしま・まさのり)(66)は、そこに風穴を開け、新しい医療のあり方への道筋を築き上げてきた。今や日本の臨床試験を支えるリーダー的な存在だ。
こんなことがあった。
1995年、まだ46歳の頃だ。愛知県がんセンター医長だった福島は、医療過誤訴訟の法廷に証人として立っていた。
がんで入院中の女性が開発中の治験薬の投与を受け、副作用とみられる症状で死亡した。家族が、インフォームドコンセント(IC)もなしに治験薬の投与を受け、その副作用で死亡したとして損害賠償を求めた裁判だ。
福島は、自分の所属するがんセンター側の証人ではなく、訴えている患者側の証人として出廷した。当時の様子を伝える朝日新聞は、福島の証言をこう記している。
「規定以上、投与されている。信じ難い」「医療になっていない。(今回のような使い方をすれば)健康な人でも死ぬ」
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