ランドラッシュ NHK食糧危機取材班著
日本で農地放棄が進む中、世界では将来の食料不足に備え、各国入り乱れて他国の農地の争奪戦を繰り広げている。その現実が執念の取材で眼前に広がる。
たとえば世界一肥沃といわれるウクライナでは、イギリス企業を筆頭に欧州・中東諸国、そして世界第2位の農耕面積のインドまでもが農地を奪い合う。
アフリカは各国の関心の的である。土地は原則として政府所有だけに交渉もしやすいらしい。マダガスカルでは大規模貸与が政府の転覆にまでつながった。中国も、タンザニアで国営地を引き継ぐなどひそかに農地を囲い込む。すでに、あるインド企業はエチオピアで東京都の1・5倍の農地を所有している。
極東ロシアの項では、広大な農地を持つニュージーランド人の肉声が収録され、韓国企業が自国政府と一体で巨大農場を建設する動きもリポートされている。
日本はどう向き合うべきか。大いに考えさせられるルポに仕上がっている。
新潮社 1575円
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