ベーシックインカムで大転換 村岡到著
ベーシックインカム論議が盛んである。面白いことに、新自由主義的論者の主張と、格差拡大を批判する福祉国家論的な主張と、対極的な賛成論が交錯している。著者は後者というよりも則法的に社会主義を目指す立場に立ち、憲法(特に25条「生存権、国の生存権保障義務」)を生かすという観点からの主張を発信し続けてきた。「ベーシックインカム」よりも主張性の明確な「生存権所得」は著者の造語であり、「強欲社会から連帯社会へ」がその一貫したメッセージである。
『生存権所得』(2009年刊)の続編である本書の特徴は、雇用税、労働評価制、地域通貨、国民背番号の導入など、生存権所得実現のため具体的提案をしている点にある。それらの妥当性や現実性に議論の余地は多々あるにしても、「憲法に立脚した」生存権を保障するための所得分配という問題提起は傾聴に値しよう。ほかに大原孫
三郎や石橋湛山を積極的に評価した論文も収録されている(純)
ロゴス 1890円
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