今も心に残る風景、北海道「消えた鉄路」の記憶 相次いで廃止された赤字ローカル線を振り返る

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だが、その後も廃線は続いている。1994年5月には函館本線の上砂川支線(砂川―上砂川間7.3km)が廃止となった。上砂川駅は倉本聰脚本・演出のテレビドラマ『昨日、悲別で』(1984年)で「悲別駅」としてロケ地に使用され、駅舎は今も現存する。同駅は倉本聰脚本、降旗康男監督、高倉健主演の映画『駅 STATION』(1981年)でもロケ地として使用されている。

その後、1995年9月には国鉄時代に第2次対象路線になったものの、並行道路が未整備として除外された深名線(深川―名寄間121.8km)が廃線に。2014年には江差線の木古内―江差間42.1km、2016年には留萌本線の留萌―増毛間16.7km、2019年には石勝線夕張支線の新夕張―夕張間16.1km、2020年には札沼線の北海道医療大学―新十津川間47.6kmが廃止された。JR北海道以外でも、2006年には池北線から転換された第三セクターの北海道ちほく高原鉄道が廃止となった。

【2022年2月20日11時25分 追記】記事初出時、廃止路線名に誤りがあったため上記のように修正しました。

JR化後の廃止路線では、日高本線が異例の経緯をたどっている。同線は2015年1月の高波で鵡川―様似間116kmの線路の多くが被災して運休、以後復旧することなく2021年4月1日に正式に廃止された。

「山線」も存続断念へ

北海道の鉄道を取り巻く環境は厳しさを増している。今年1月末には2016年の台風で被災し運休している根室線の富良野―新得間について、地元が存続を断念しバス転換に向けた協議に入ることを決めた。また、JRが「単独では維持困難」と表明している宗谷本線では無人駅の廃止も相次ぐ。鉄道の将来に不安を抱かせる一因であろう。

そして2月に入り、新たなニュースが飛び込んできた。北海道新幹線の札幌延伸(2030年度末予定)に伴って並行在来線となる函館本線長万部―小樽間(140.2km)、通称「山線」の存廃をめぐって同月3日に沿線9市町と道が開いた協議において、沿線7町が長万部―余市間(120.3km)の廃線を受け入れる意向を示したというのである。

函館本線の山線はかつて多くの急行、特急列車が闊歩した華やかな路線だったが、この区間が廃止となることには、筆者個人としてはまさに断腸の思いである。新幹線の代償として消えゆく鉄道の存在感はあまりにも小さい、これが北海道の鉄道の現状なのだ。

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