JRも協力、鉄道写真「草刈りプロジェクト」舞台裏 雑草を整備、指宿枕崎線「松ケ浦駅」美しく変身

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「鉄道路線があるのは“当たり前”ではない。地域の宝として大切に、そして話題にしていきたい」と語るのは、特定非営利活動法人「頴娃おこそ会」の葛岡克紀氏だ。

これまでも指宿枕崎線の活性化に向けて、観光列車「A列車で行こう」の指宿枕崎線ツアー開催協力や枕崎駅周辺の居酒屋で飲食後、同路線の定期列車を利用しての帰宅を促進する「呑ん方(のんかた)列車」、有識者を招いてローカル線と地域の在り方のシンポジウム開催など、さまざまな取り組みにチャレンジ。自身も鉄道ファンということでSNSを通じて、自ら撮影した指宿枕崎線の写真を発信している。

熱心な地元愛から沿線出身かと思いきや、実は関西出身。鹿児島にはIターンでやってきたというユニークな経歴の持ち主だ。鹿児島に移住を決めた理由は、「福岡から南下の旅をしてきて最もピンときたからです」。

指宿枕崎線で観光客や鉄道ファンに人気がある、鉄道関連のスポットというと開聞岳を背景にする西大山駅がまず挙がる。その一方で、鉄道写真家の長根広和氏は松ケ浦駅を推す。「西大山駅同様か、それ以上にすてき」。これまで膨大な「鉄道風景」を見てきた長根氏でも松ケ浦駅の光景には惹かれるものがあった。

「1本のホームにこぢんまりとした屋根とベンチ。ゆるくカーブを描くレールの先には開聞岳がたたずむ。さらに撮影方向が東を向いているので冬季は朝焼けに開聞岳が浮かぶ、まさに絶景になります」

きちんと整備すれば、「観光資源になる」

ただ、長根氏には悩みの種があった。「指宿枕崎線は沿線の雑草が元気で、松ケ浦駅も例外ではありません。雑草により撮影ポジションがかなり限定されてしまっているだけでなく、せっかくのシチュエーションがとても惜しいことになっていました」。

雑草を含めてありのままの風景を撮影するという考え方もある。しかし、きちんと整備すれば、誰もがより手軽に松ケ浦駅で写真撮影を楽しめるようになる。それが、大きな観光資源となる可能性もある。

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