【産業天気図・家電・AV】活況から一転、円高が重し、海外勢の攻勢も厳しく
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
家電・AV業界は2010年度前半の活況から一転、10月~11年9月まで「曇り」に景況感が後退する見通しだ。激しい円高進行が主要各社の収益の重しになる。韓サムスン電子や米アップルといった競合企業の攻勢も厳しい。新興国需要に合わせた生産販売戦略も重要視される中、大手各社は経営資源の再配置を検討する必要がある。
「会社四季報」秋号の業種別展望では、家電・AVメーカーを含む電気機器業界の今11年3月期は、業界全体の営業利益総額が前期比127.6%増となる見通し。だがこの改善幅は来12年3月期には14.7%に大幅縮小すると見込まれている。
今期は各社とも、前期に断行した人員リストラなどの構造改革効果が大きい。たとえば最大手のパナソニックの場合、前期末までに国内外40拠点を統廃合するなどし、固定費3700億円強を削減した。ソニーも同様に、年間3300億円強を削減している。加えて、今期はFIFAワールド杯や家電エコポイント制度などの特需要因で、薄型テレビの販売が好調という要因もある。
だが足元では、初夏からの円高進行が大手各社の業績を直撃しつつある。たとえばソニーの場合、ドルは90円前提で、1円円高で営業益が年20億円減る計算。ユーロに対してはさらに感応度が高く、110円前提で1円円高なら年70億円が減ることになる。同業他社も1ドル83~84円台の為替相場では、今期業績が大きく下押しされる。