NTTデータ、海外1兆円構想の勝算 国内ガリバーがM&A攻勢で海外に活路
売上高1兆円達成に向けて、各地域のCEOがポイントだと口をそろえるのが、地域子会社間の連携とNTTグループ企業との共同受注だ。NTTデータは業界や顧客、ソリューションごとに地域子会社を横断する協働チームを組織しており、これを軸に情報を共有して案件を獲得している。実際、欧州子会社の顧客だった自動車メーカーの案件を、中国やオーストラリアで受注した例がある。
NTTグループ企業との連携は、国内では少ないが、海外では活発だ。昨年にはNTT持ち株会社傘下のディメンションデータ(南アフリカ)やNTTコムと連携し、巨額案件を相次いで受注した。一例が昨年6月に獲得した、米テキサス州交通局の情報システムの運用・保守案件である。5年間の長期契約で総額は190億円。アプリの保守はNTTデータが、ネットワーク構築と通信サービスをディメンションデータが、セキュリティ管理は持ち株会社傘下の米ソリューショナリーが担当する。さらに、「ケンタッキーフライドチキン」や「ピザハット」を運営する外食大手、米ヤム・ブランズからも、約100億円のITアウトソーシング案件を獲得。こちらはNTTコムの米子会社と連携して受注したものだ。そのほか、大手鉄鋼メーカーや医療機関の案件を、グループ企業で受注している。
今年8月末にはシリコンバレーで、NTTグループのIT企業各社が顧客へのプレゼンや商談に使う共同提案拠点もオープン。各社のオフィス、NTT持ち株会社の開発拠点に併設しており、大型受注につなげる考えだ。
不採算案件多発した国内をテコ入れ
積極的に海外事業を拡大するうえで、収益柱である国内事業の収益性を保つことも重要だろう。国内は昨年、大型の不採算案件が多発。合計310億円もの利益が吹き飛んだ。そこで、昨年10月には社長をはじめとする幹部が一定額以上の案件の進捗をチェックする、プロジェクト審議委員会が発足。最終的なテスト工程などを自動化し、納期を短縮する開発自動化ツールの導入も進めている。
NTTグループを見回してみると、国内市場の依存度が高いNTT東日本、NTT西日本、そして収益柱のドコモが思うように業績を伸ばせていない。それだけに、NTTデータの海外戦略の成否は、グループの成長戦略における重要なカギを握ることになりそうだ。
NTTデータグループの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら