強制せず給食完食!「納得感」を生む「食育」のコツ 食事の楽しさを知ればフードロスもなくなる

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命に関わることなので、教員なら誰しも十分な配慮をしているはずです。でも、アレルギーのない子に理解を求める教育まで行う先生は少ないと思います。

「アレルギー=嫌いなので食べない」ことだと思っている子がいるので、僕はなるべく早い段階で「体が、外から入ってくるある物質を敵だと勘違いしてしまい……」など、どの学年でも理解できる言葉を使って説明しています。もちろん、プライバシーに関わる問題なので保護者の了承を事前に得たうえで行っています。

――食育により、子どもたちに変化は見られますか。

今回ご紹介したように、僕は日常的に「自分が食べられる食事の量」「食品に含まれる栄養素と自分の体との関係性」「作ってくれた人や食材の生産者の願い」について伝え、「実際に食べながら考える」という体験の提供を繰り返しています。

すると、しだいに子どもたちの食事に対する向き合い方が変化していき、どうすればフードロスを減らせるだろうかといった問いに対する自分なりの意見も持てるようになります。

家庭での食事において変化が出てくる子も。これまでに「残さず食べるようになった」「朝食を抜きがちだったのが、意識して食べるようになった」「今まで捨てていた野菜の部位を使って料理を作るようになった」「家で給食の人気メニューを作ってくれた」といった保護者の声をいただきました。

――給食指導に悩む教員や学校にアドバイスはありますか。

給食の面白いところは、家で食べたことがない食材や料理にも出合える点。あるクラスではサワラを食べたことがないという子が多かったのですが、そんなときこそ、みんなで一緒に学ぶ機会になると思います。

最近では日本の郷土料理を出したり、オリンピック期間に世界の料理を出したりする学校もあります。そういう機会も逃さず一つひとつ丁寧に説明してあげるとよいのではないでしょうか。

以前いた公立の小学校では、栄養士さんがトビウオを見せてくれた
(イラスト:田中氏提供)

栄養士さんや調理員さんとも仲良くできるといいですね。僕がいた学校では、あごだしを使ったメニューの日に、栄養士さんがトビウオを教室まで持ってきて胸びれを広げて見せてくれたことがあるのですが、子どもたちはとても喜んでいました。

そこまでやるのは難しいかもしれませんが、「今日の料理、何で味付けしてあると思う?」など、日常的に声がけすることは今すぐできるのではないかなと思います。

田中光夫(たなか・みつお)
1978年生まれ、北海道出身。東京都の公立小学校教員として14年間勤務。2016年、主に病気休職の教員の代わりに担任を務める「フリーランスティーチャー」となる。これまで公立・私立合わせて延べ11校で講師を務める。NPO法人「Growmate」理事としてマーシャル諸島で私設図書館建設にも携わる。近著に『マンガでわかる!小学校の学級経営 クラスにわくわくがあふれるアイデア60』(明治図書)
(写真:田中氏提供)

(文:編集チーム 佐藤ちひろ、注記のない写真:ありがとう!/PIXTA)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

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