開成・元校長の柳沢幸雄「優秀な子」に共通する、ある能力とは? 「勉強しなさい」の声がけ、代わりにしたいこと

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余談ですが、米国の親は本当に子どもをよく褒めるのですよ。GREAT、COOL!など、英語で褒める言葉の単語は本当にたくさんありますが、けなす言葉の単語はほとんどありません。なぜなら使わないからです。日本語でも周囲が認めて褒めてあげることは、子どもの自己肯定感や自信につながっていくことは間違いありません。

――最後にICT教育については、どう評価されていますか。

ICTの最大のメリットは、教員が時間を合理的に使えるようになることです。教員は本当に忙しい。私も校長を退任して、やっと夜中に電話が鳴るようなことはなくなりました。学校では本当にいろいろなことが起こります。その報告は、昼夜関係ありません。しかし、ICTがあれば教員は時間を有効に使うことができるでしょう。

次に大事なのが、アクティブラーニングです。アクティブラーニングには教える側にも相応の技術が必要になります。米国では通常、先生と生徒のやり取りで授業を進めていきますが、これからの日本の教育でも、アクティブラーニングに取り組むにあたり、いかに子どもたちにしゃべらせるかということが重要になってくるでしょう。そのとき、どんな教育上の技術が必要なのか。今は、残念ながらそれだけの能力を持った教員は多くはありません。アクティブラーニングを日本語に訳すと「能動学習」となりますが、私は「脳動学習」と言い換えたほうがいいと考えています。生徒の脳をいかに動かすか。それには、しゃべらせて、褒める教育が重要になってくるのです。

柳沢 幸雄(やなぎさわ・ゆきお)
東京大学名誉教授。北鎌倉女子学園学園長。1947年生まれ。東京大学工学部化学工学科卒業。民間企業に勤務後、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、同大併任教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年より開成中学校・高等学校校長を9年間務めた。2020年4月より現職。著書に『後伸びする子」に育つ親の習慣』(青春出版社)『ハーバード・東大・開成で教えてわかった 「頭のいい子」の親がしている60のこと』などがある
(写真:柳沢氏提供)

(文:國貞文隆、注記のない写真:iStock)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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