茨城県の「校長公募」に1673人が殺到した納得理由 たった5名の募集、どんな人材が集まったのか

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教育に興味のある人は多いのに、情報が少ない

その結果、募集期間約6週間(8/19〜9/29)で1673名もの人から応募があった。年齢は40〜50代で8割以上、中には20代もいたという。応募資格として、民間企業や官公庁での管理職経験者を求めたことから、マネジメント経験のある大企業の管理職や起業家、国家公務員など幅広い業種、職種から多くの人材が集まった。

1次は書類審査、2次はオンライン面接、3次は対面とオンラインで選考を行った。応募者のこれまでの経験はもちろん、学校現場で何に取り組みたいのか、校長としての抱負などを確認した。茨城県側も民間企業の“時間軸”に合わせてスピーディーに採用を進めたという。そして最終的に、4名を採用した。1673名から応募があったものの、予定していた5名を採用しなかったところに本気度を感じる。決め手はいったい何だったのか。

「合格した4名の方は、これまでのキャリアもビジョンも突出していました。教育現場での経験はありませんが、県立の中高一貫校の校長をぜひお任せしたいと思わせる方々でした」(庄司氏)

なぜ、こんなにも多くの応募が殺到したのだろうか。採用を支援したエン・ジャパンとしても、校長公募の求人を掲載するのは初めてだったというが、同社で自治体や官公庁の採用支援を担当する水野美優氏はこう分析する。

「官公庁や自治体への転職に興味がある方が約9割、その中でも教育は興味のある分野としてかなりの上位という調査結果があります。一方で、官公庁や自治体の転職情報、仕事の内容に関する情報は少なく、不安に思う方が少なくない。そこで今回は、募集ページでも、茨城県が校長を公募する背景や仕事内容について詳細に伝えられるよう努めました。これまで茨城県が、民間から採用した実績があったことも安心感につながった。公教育に直接関われる機会は貴重とあって、意欲の高い方々を集めることができたと考えています」

00年、文科省が学校教育法施行規則を一部改正し、校長の資格要件を緩和して以降、教員出身ではない校長の登用は増えている。だが、より広い視点で優秀な人材を学校のトップに据えたいと考えるならば、前例にとらわれずに潜在層に確実に情報を届ける手立てを検討してみる価値がありそうだ。

(文:編集チーム 細川めぐみ、注記のない写真:iStock)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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