茨城県の「校長公募」に1673人が殺到した納得理由 たった5名の募集、どんな人材が集まったのか
こうした改革を、さらに推進するための一手が校長公募だ。すでに茨城県では、19年に教員免許、経験不問の校長公募を実施し、民間人から2名を採用。県下の中高一貫校で1年間、副校長としての経験を積み、21年4月から校長として手腕を振るっている。
「われわれだと、どうしても今までの流れを意識してしまいます。自身の人脈などを駆使しながら探究活動を行ったり、生徒が主体的に校則を見直すよう仕向けたり、いろんな視点で新しい取り組みを仕掛けてくれています」と茨城県教育庁学校教育部高校教育課 人事担当課長補佐の庄司一裕氏は話す。一方で気になるのが、周りの反応だが、旧態依然をよしとしない先生も多く前向きに捉えられているという。
その後、茨城県は20年にも校長公募を行っている。だが、約30人ほどと19年より応募数が半分程度だったのに加え、新しい視点を持つような適任者が見当たらず採用を見送っている。
どうしたら優秀な人材が集まるのか……。県や学校のホームページ、関係者のネットワークを通じた募集だけでは限界があると考え、21年の校長公募では民間企業のエン・ジャパンに協力を依頼した。ビジネスパーソンの転職サイトとしてよく知られる「エン転職」「ミドルの転職」に、求人情報を掲載したのだ。
募集は5名。今回は初めて年齢制限を撤廃、企業に在籍しながらの出向もOKにして、オンライン選考も導入した。広く周知をしたい、さまざまな方面の人材に応募してほしいという考えからで、その切なる思いは募集ページに書かれた「求める人材像」にも表れている。
【問1】Aさんの通う中学は、全校生徒300人。3年間の学校授業だけですべてを理解できた生徒は、全体の3割でした。そんな教育に意味はあるのでしょうか。理解力や得意・不得意の異なる生徒全員が、笑顔になれる授業スタイルを考えてください。
【問2】Bさんはテストでいつも100点でした。もちろん、高校・大学受験に成功。でも、社会に出たあと活躍できませんでした。そんな教育に意味はあるのでしょうか。受験のための勉強ではなく、人生を豊かにするカリキュラムを考えてください。
【問3】Cさんの通う学校の教育方針に疑問を抱く人はいません。でも、Dさんから見れば、[ア]という課題があります。なぜなら[イ]であり、解決するには[ウ]が必要です。あなたなりの[ア][イ][ウ]を埋めてください。
――悲しいことに、上記問題に答えられる教育者は多くありません。そこで今回は、「学校教育を変えたい」という情熱をお持ちの方を、広く募りたい。教員免許や業界経験は不問。常識にとらわれない校長として、学校教育を改革してください。
出所:エン・ジャパン運営『エン転職』