教育の成果にシビアな保護者「関西中学受験」事情 「損得勘定」重視の土地柄で、人気の学校は?

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「昔ながらの授業をやるのではなく、新しい学びに挑戦する学校が注目されています。国際バカロレアもそうですが、バージョンアップされた学習科学の成果を授業に用いて、生涯役立つ、本当の学力を習得させようとする取り組みが強化されているのです。

長い目で見れば、こうした取り組みをしている学校が将来的には伸びていくと考えています。20年ほど前に総合学習が学習指導要領に入り、それが“ゆとり教育”だと批判されたことがありましたが、当時まじめに総合学習に取り組んだ学校は、その後人気を集め、実績も伸びているのです。その意味でも、現在、新しい学びにチャレンジしている学校は期待して見ています」

こうした動向を見ていくと、関西圏も首都圏と似たような傾向にあることがわかる。だが、関西圏で特徴的なのは、損得勘定を重視する土地柄もあり、学校選びでも「元が取れる」実績重視の傾向が今もなお強いことだ。

首都圏では新しい教育や学びのあり方を提示すると志願者が集まってくるが、関西圏はそれだけでは動かない。表紙はよくても内実が伴っているのか。そこは超シビアな評価を下す。

「将来AIが人間の仕事を代替するという予測がありますが、その同じAIを子どもたちも手にします。誰もがAIを使う時代に重要なのは『何がしたいか』『世の中をどう変えたいか』という思いです。今の子どもたちが学ぶのは、この思いを育てるためです。最も避けるべきは、子どもが勉強嫌いになることです。楽しく学ぶ、勉強が好きになるためには、押し付けず、ダメと言わず、子どもたちがいろんなものに興味を持てるような機会をつくってあげることが必要です。受験は保護者ではなく子ども自身の課題です。自ら成長のきっかけをつかむまで、親は待つことが大事なのです」

萩原氏はこう話す。そういう意味で、昔に比べて学校の教育内容にもバリエーションが出てきている。保護者が子どもに合った学校を探すのはもちろんだが、学校側も自分たちの教育の特色を積極的に発信し、その教育がどのような成果をもたらすのか、実績とともにうまく保護者に示していく必要がありそうだ。

(文:國貞文隆、注記のない写真:ダイ/ PIXTA)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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