教育の成果にシビアな保護者「関西中学受験」事情 「損得勘定」重視の土地柄で、人気の学校は?
どうなる?関西中学受験2022志願者動向
では、こうした傾向を踏まえて、22年の志願者動向はどうなるのか。ここは首都圏の動向と同じく、中学受験は小学校3年〜4年に準備を始めるため、来年も志願者数に大きな変化はなく、ほぼ横ばいの見込みだと萩原氏は話す。

「短期的な動向としては、大学入学共通テストが実施され、大学入試改革の中身がある程度見えてきたこともあり、ここ数年関関同立などの大学付属校に流れていた生徒たちが大学受験のある学校に戻ってくるとみています。
コロナ禍で、ICT教育が一気に進展したことで、その対応の差が各校で明確になりました。これまでは偏差値や進学実績でしか差がつきませんでしたが、ICT教育など新しいことを積極的にやっている学校が鮮明になり、長期的には『何で学校を選ぶのか』が家庭ごとに意見が分かれることも考えられます」
新学習指導要領がスタートして「知識・技能」に加えて「思考力・判断力・表現力」などの新しい能力の育成が求められるようになる中、それが家庭にも浸透し、学校の評価のあり方も少しずつ変化しているという。
「詰め込み型で進学実績ばかりを追っていた学校は評価されなくなり、むしろ、どんな教育をしているのかを明確に持つ学校に注目が集まっています。その意味で、保護者にわかりやすいのが、英語をはじめとしたグローバル教育や、あるいはアクティブラーニングをはじめとした探究学習に積極的な学校です。例えば、大阪の明星ではリベラルスタディーズという独自の取り組みを行っており、志願者数が増加しています。同じく大阪の女子校の帝塚山学院、兵庫の女子校である甲南女子や親和にも注目が集まっています」
首都圏の中学では、SDGsや最先端の研究に触れる機会をつくるなど社会とのつながりを意識した教育や、海外で定評のある教育指導法を取り入れた学校など、ほかにはない特色のある学びを行っている学校も人気を博している。関西にも、そのような学校はあるのか。
「大阪の茨木市にある追手門学院と大阪市の追手門学院大手前の2校はアクティブラーニングや探究学習に注力しており、最近ではロボットのプログラミング教育を積極的に進めているほか、米名門のハワイ大学と連携し、一定の成績を収めるとハワイ大学所属のカレッジに推薦で入学できる制度などが充実しており、注目されています」
また17年に女子校の大阪聖母女学院から共学化し、校名変更した大阪の香里ヌヴェール学院では、新しい時代の教育を指向し、「あなたならどんな自動販売機を作りますか」といった独自のユニークな入試問題にチャレンジするなど新味を出そうとしている。神戸では須磨学園系列の夙川のほか、神戸山手女子では著名校長が塾と連携しながら、アダプティブラーニング(個別最適化学習)を推進し、支持を伸ばしている。