偏差値だけは古い「中学受験」失敗しない学校選び 中学受験2022「今人気がある学校」3つの共通項
こうした3つの施策に力を入れている学校が、多くの子どもたちを集めているというわけだ。12月に入ると、いよいよ中学受験本番という空気が色濃くなっていくが、来年も志願者数の増加が続き、熾烈な競争となることが予想されている。
保護者は、中学受験に失敗しないためにも、改めて学校選びのポイントをここで見直しておきたいところだ。森上氏は、こう話す。
「欧米の保護者は自分と同じ価値観を持った学校に子どもを預けることを基本としています。本来、保護者は子どもが通う学校の文化をまず知るべきなのです。そうでなければ、子どもがどのように育っていくのかわかりません。一般に生徒文化は教員文化でつくられます。その教員文化を知るには学年通信や機関誌など学校の印刷物を見ればいい。そこで書かれていることや、語られる言葉で校風を知ることができるのです」
体よく作られた受験案内の資料やホームページだけでなく、日常的に配布されている資料などにも目を通しておくべきということだ。せっかく猛勉強して入ったのに、実際に入学したらイメージと全然違っていたということも珍しくない。とくに中学時代は反抗期などもあって、家庭だけではなかなか目の届きにくい子どもの成長に対して、学校がどう対応してくれるのかなども気になるところだ。
最近では、勉強以外で子どもたちの面倒を見てくれるメンター制度などがある学校もあるという。「ある有名校では教員の元に深夜1時になっても親や子どもから悩み相談の電話がかかってくると言います。中学は親や子どもにとって難しい時期です。それだけ保護者の要求も強く、教員の負担も大きい。だからこそ、学校選びでは偏差値以外の要素も確認することが大事になってくるのです」と森上氏も念を押す。
これまでの子どもと親の努力を、どう次のステージへとつなげるのか。悔いのない見直しを今やっておきたいところだ。

森上教育研究所 代表取締役社長
早稲田大学法学部卒業。東京第一法律事務所勤務を経て東京・中野の学習塾「ぶQ」の塾長を11年務めた後、1988年に森上教育研究所を創立。中学受験、中高一貫の中等教育分野を対象とする調査、経営コンサルティングを手がける
(撮影:尾形文繁)
(文:國貞文隆、注記のない写真:Kazpon / PIXTA)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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