偏差値だけは古い「中学受験」失敗しない学校選び 中学受験2022「今人気がある学校」3つの共通項

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「上位校では大学入学実績も医学部をはじめとした理系進学を重視するようになっています。例えば、海城はかつて文系の学校といわれ、文系と理系が半々だったのですが、今はほとんどの生徒が理系で、その多くが医学部を目指しています。昔は上位校でも官僚になりたい生徒も多かったのですが、今の時代、文系では将来の仕事が見えない。やはり確実なキャリアを得たいということで、医学部人気が高まっていることが要因となっているのです」

こうした私立校が注目される一方、公立の中高一貫校も相変わらずの人気だ。中学受験の勉強を本格的にしていなくても「試しに受けてみよう」という層も多く、倍率が著しく高いが、都立の中高一貫校がほかの公立中にも大きな影響を与えているという。

「公立中は、都立の中高一貫校に優秀な子どもたちを奪われているうえ、コロナ禍でほとんど授業ができなかったことにより大きな影響を受けています。これからICT教育が進展する中で、保護者は当初、都立高志望で公立中志向であったとしても、周囲の影響もあり、結局は私立志向に変わってしまう。ただ、公立も立ち止まっているわけではありません。例えば、立川国際中等教育学校は新たに小学校を来春開校します。現状を変えようとしている公立中も少なくありません」

少子化において私立の中高一貫校が生き残るには

ここで中学に入学する子どもたち全体の数で見ると、また違う風景が見えてくることがわかる。

森上氏の推計では、私立中学を受験する子どもたちは一都三県の公立小全体では約15%にすぎない。東京都で見れば、中1の段階で公立中に通う生徒が8割、私立中は2割となる。これだけ中学受験が注目される一方で、実際には公立中に進学する子どもたちのほうが圧倒的に多いのだ。

しかも地域によってばらつきがあり、千代田区・中央区・港区などの都心3区や湾岸部では子どもたちの9割が中学受験をする一方で、杉並区・練馬区・足立区などの子どもたちは中学受験をしない子どもたちが多いという。つまり、中学受験を当たり前とするかしないかが地域によって明確に分かれているのだ。

私立校の学費は私立大のそれと同じレベル。しかも中学受験自体にもお金がかかる。実家がもともと裕福か、ダブルインカムの保護者でなければ対応できない。中学受験は格差社会の現実を顕在化させるものなのだ。

このように社会問題の一端も垣間見える中学受験。ただし今後は少子化で生徒数が減っていくことは間違いない。地方では、すでに閉校する学校も出始めている。学校も現状維持では生き残れない。人気校ほどそのことに敏感だ。では、選ばれる学校として生き残るために、彼らはどのような手を打っているのだろうか。

「今人気がある学校にはいくつかの共通項があります。まずは校舎などの施設がきれいな学校であること。そして、ICT、英語、数学の教育を強化している学校です。英語は当然として、数学は早稲田大学政治経済学部が必須受験科目にしたことによる私立文系への影響、またICT技術が高度化する中で、数学の考え方を身に付けておきたいという考えが強くなっていることも理由として挙げられます。バーチャル化の一方で、留学などのさまざまな経験を重視している学校も人気が高い。例えば、東京学芸大学附属国際中等教育学校、佼成学園、法政、開智、栄東など都会の子どもたちに豊かな体験学習をさせて、人間性を高めていく教育で特色がある学校も注目されています」

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