偏差値だけは古い「中学受験」失敗しない学校選び 中学受験2022「今人気がある学校」3つの共通項
では、今首都圏で人気のある学校は、どのような特徴を持っているのか。
「相応のネームバリューがあり、子どもが将来成功するための教育を行っている学校が人気となっています。そこでまず挙げられるのが国際系の学校です。とくに広尾学園、三田国際、広尾小石川などに注目が集まっています。以前なら子どもを偏差値の高い学校に入れて、有名大学に進学してもらえばいいと考える専業主婦の母親が多かったのですが、今はグローバル化する社会で実践的な出口戦略を志向するキャリアの母親が多くなっている。それが人気の上昇に影響していると考えています。
次いで付属校も人気です。昨年はとくに日大豊山が人気だったのですが、これは日本大学への進学も保障されたうえで、他大学の受験もできるという点が評価された。同じくこうした施策を行っている学校は多いのですが、ほかにもMARCHが系属校を増やし、パイを広げたことも大きいでしょう」
例えば、青山学院横浜英和に続き青山学院大学の系属校となった浦和ルーテル学院は、昨年倍率が急上昇した学校の1つだ。これは少子化にあって、大学が定員を安定的に確保する施策の側面もある。近年、女子大は共学に押され気味だが、例えば東京女子大学は22年度から桐朋女子、23年度から女子聖学院、横浜女学院、捜真女学校など主にプロテスタント系の学校の推薦枠を拡充する。中学受験の学校選びでは、こうした高大連携の動きも見逃せない。
「開成や桜蔭などの上位の伝統校は、男子校と女子校それぞれの持ち味や独自の文化に魅力があり、こちらの人気は不変といえるでしょう」
偏差値によらない学校選びで重視すべきポイント
その一方、偏差値によらない学校選びでは、どのようなことが重視されるのだろうか。中等教育で興味深いのは、子どもが中学で大きく成長するということだ。
中学受験では小学校5、6年で精神的に成長の早い子が成功する傾向が高い。成長がゆっくりな子は、中学受験の勉強で苦労することが多いかもしれないが、逆に中学では大きく成長する可能性がある。当然だが、子どもによって伸びる時期が異なるのだ。
だからこそ、ロケットスターターではない、スロースターターの子どもを持つ保護者にとっては、より子どもを成長させてくれる学校を選びたい。だからこそ、偏差値だけではないポイントにも注目が集まるのだ。
「偏差値によらない学校選びでは今、ネームバリューよりも、子どもがキャリアをいかに築けるかという発想が保護者の間で強くなっています。偏差値が高いからいいというわけではなく、どんな友人をつくれるのか、どんな行事があるのか、学習ができるのか。そうした発想を持っているのです。とはいえ、宝仙学園、開智未来、穎明館といった中位校ながら、大学合格実績の高い学校も人気です。ほかにも佼成学園女子は一年留学という特徴的な英語教育に定評があり、近年有名大学に卒業生を送り込んでいます。さらに品川女子学院や女子美術大学付属などが、将来の仕事を見据えることができる学校として志願者数を伸ばしています」
一方、上位校の動向はどのようになっているのか。森上氏曰(いわ)く、医学部をはじめとした理系にシフトする傾向が強く、文系を目指さない生徒が増えているという。