大阪王将、黒字決算を支えるあの「ドル箱」の実力 コロナ禍で冷凍ギョーザが大健闘、工場増設も

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コロナ禍ではこの戦略が見事に奏功した。

従来、外食事業と食品事業の売上高はほぼ同じぐらいだったが、コロナ禍で食品事業が全体の6割を占めるようになった。利益面でも食品事業は2021年3~8月期で5.8億円の営業利益を計上し、0.5億円の赤字となった外食事業の苦戦を吸収した。

食品事業の躍進を支えているのが、果敢な投資戦略と新メニューのヒットだ。

イートアンドHDは、関西、関東第一、関東第二の計3カ所に冷凍食品の製造工場を持つ。いちばん新しい関東第二工場は2019年11月に竣工したが、2020年12月には4.6億円を投じて羽根つき餃子の製造ラインを増強した。

商品施策でも、ニンニクをふんだんに使用した「大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子」を2021年2月末に投入。月間販売数は50万パック超えで推移し、2021年9月にはテレビCMも打ったこともあり単月で約100万パックほどの売り上げがあったという。羽根つき餃子とぷるもち水餃子の二枚看板に次ぐ、第3の柱となりつつある。

シェアトップの味の素を猛追

「シェアだけを意識しているわけではないが、われわれはやはり1番手(味の素)を追う立場。とはいえ、追い越すなんて多分一生できるはずもないのだが……」

決算説明会で仲田社長は「冷凍食品はまだまだ伸びる」と今後の見通しを語った(記者撮影)

仲田社長は4月中旬に開かれた前期の決算説明会の場で、業界の「絶対王者」である味の素とのシェアの差を念頭にそう自嘲していた。だが、味の素の背中も徐々に見えてきている。

イートアンドHDの決算説明資料によれば、2020年4月~2021年2月の冷凍ギョーザ(焼きギョーザ・水ギョーザ)市場で同社のシェアは32.5%と2位(数値は市場調査会社のインテージ)。味の素とみられるシェア1位の「A社」は46.3%で、13.8ポイントの差がついていた。

しかし直近の2021年6~8月では、A社が44.1%、イートアンドHDが34.5%だった。両社の差は9.6ポイントに縮まっている。

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