「普通の子ども」にこそ、帝王学が有効な理由 リーダーシップを身に付ける「全人格的教育」

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ちなみに、ウィリアム王子、ヘンリー王子が入学したサンドハースト王立陸軍士官学校は王立軍事大学の流れをくみ、スペイン、ギリシャ、カタール、ヨルダン、リヒテンシュタイン、ブルネイ、ボツワナなどの各国の王族や貴族が子弟を送り込むことでも有名な名門の軍事学校だ。

(右)サンドハースト王立陸軍士官学校の前身である王立軍事大学、乗馬学校(左)現在のサンドハースト王立陸軍士官学校の様子

王族が帝王学の一つとして取り組むのが、この「軍務」である。士官学校では、仲間と寝食を共にし訓練を受けることで、帰国後、王として軍務を把握しやすくなるのだ。さらに士官学校での結び付きが「トップ外交」の一つとして、欧州や中東の王族、貴族に重要視されていることも見逃せない。

普通の子どもが、帝王学を学ぶことには意味がある

帝王学には、教養をはじめ、市井を知るための努力、また上に立つ者として民を統率するカリスマ性が必要となる。そして日本でもまた、英国と同じように帝王学がある。象徴天皇制ではあるが、神事をはじめ継承すべき国事行為や、公務があるからだ。同様に、ほかの国でも、帝王学と呼ばれるものはある。

場所により内容は違えど、その土台にあるのは、現場に出向き、現実に生きる人々と触れ合い、その考えや生き方を十分に知る努力をしたうえで、俯瞰した立場に立つことの重要性だ。さらに俯瞰した立場で人々を率いるには、カリスマ性に加えて、強い自立心、多方面にわたる十分な知識と教養も必要である。歴史に学びながら次を予測する力も必要だ。また上に立つ者として、統制する相手とは一方的な関係性ではなく、互いに信頼し信頼されるという関係も必要である。そのためには、弱者への視点を持つことはもちろんのこと、ノブレス・オブリージュの精神も必要だろう。

まさに帝王学を身に付けることは、究極のリーダーシップを発揮できる力を養うことと同義ともいえる。そう考えると、これは特別な立場に立つ人だけではなく、むしろ普通の子どもにも、身に付けてほしい力といえないだろうか。特別な人の限られた学問とするのではなく、興味のあるところから取り入れてみることをお勧めしたい。

村田 学(むらた・まなぶ)
国際教育評論家、eduJUMP!編集長、インターナショナルスクールタイムズ編集長。米カリフォルニア州トーランス生まれの帰国子女。人生初めての学校である幼稚園をわずか2日半で退学になった「爆速退学」の学歴からスタート。帰国後、千葉・埼玉・東京の公立小中高を卒業し、大学では会計学を専攻。帰国子女として、日本の公立学校に通いながら、インターナショナルスクールの教育について興味を持つ。2012年4月に国際教育メディアであるインターナショナルスクールタイムズを創刊し、編集長に就任。その後、都内のインターナショナルスクールの理事長に就任し、学校経営の実務を積む。その後、教育系ベンチャー企業の役員に就任、教育NPOの監事、複数の教育系企業の経営に携わりながら、国際教育評論家およびインターナショナルスクールの経営とメディア、新規プロジェクトの開発を受注するセブンシーズキャピタルホールディングスの代表取締役CEOを務める。10/23(土)に、村田氏も参加する「インターナショナルスクールフェア2021」がオンラインで開催される。幼小中高のインターナショナルスクールが集結予定だ
(撮影:今井康一)
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