JR東海「リニア流域市町会合」で露呈した無策ぶり 解決の糸口「トンネル」要望にお粗末な対応
暗礁に乗り上げるリニア静岡工区着工への打開策として、JR東海は大井川流域市町首長との意見交換会を9月18日、静岡市内のホテルで開いた。
鈴木敏夫・川根本町長が、南アルプスのリニア静岡工区と流域を結ぶ静岡市道閑蔵線トンネル建設を要望、島田市長も閑蔵線トンネルの必要性を訴えた。金子慎JR東海社長は「当初は閑蔵線トンネルを造る計画だった」などと述べただけで、トンネル建設の要望を退けた。
川勝平太静岡県知事は、リニア工事現場視察などで何度も閑蔵線トンネルの必要性を訴えてきた。閑蔵線トンネル建設はリニア問題打開の糸口になるはずなのに、JR東海は地域の声に応える姿勢をまったく示さなかった。藤枝市長の「ルート変更が選択肢」など厳しい意見まで飛び出した。初の意見交換会という触れ込みだったが、JR東海の“無策”を露呈する結果となった。このままでは未来永劫、地元の理解を得ることはできないだろう。
トンネル建設は観光にも寄与
静岡市道閑蔵線は、新東名高速道路島田金谷インターチェンジからリニア工事の拠点となる静岡市井川地区を結ぶ、唯一、大型車通行不可で狭隘な道路が続く約5.8kmの区間。
2017年12月、井川地区で開かれたリニア検討状況説明会で、JR東海は、閑蔵線に約2.5kmのトンネル整備を提案した。このトンネルによって、リニア関連の工事車両が安全かつ安定的に通行できるだけでなく、新東名高速道路島田金谷インターチェンジから南アルプス地域までのアクセスが飛躍的に改善され、南アルプスエコパークへの観光誘客に寄与できるなど多大な効果があると説明した。
井川地区の多くの住民は、大井川流域との利便性ではなく、歴史的につながりの深い静岡市中心部へのアクセスを要望、県道三ツ峰落合線トンネル(約4km)の建設を求めた。
田辺信宏静岡市長は地元の意向を優先して、交渉に臨んだ。費用負担割合で難航したが、2018年6月20日、田辺市長はJR東海の140億円全額負担による県道トンネル整備で基本合意を結んだ、と発表した。
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