「海外志向」の一般家庭が急増、知られざる背景 「個性派インター」が選ばれる、納得の理由

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これだけの学費が必要になっても、なぜ人気があるのか。村田さんが一例を挙げた。

「入学希望者の一例をご紹介します。東北地方で歯科医院を開業されている方が、息子さんをハロウ安比校に入れたいと希望しています。それはなぜでしょうか。歯科医院の息子であれば、歯科大学を出て歯科医院を継げばいい、そう考える方も多いでしょう。ですが、この方は違いました。日本では現在、歯科医院はコンビニエンスストアの数と同じくらいあるともいわれています。規制産業が今後、規制緩和されれば食べていくのは難しいと考えているのです。息子さんには英国で医師、または歯科医師の資格を取り、海外で活躍してほしいと考えているということでした」

そのためには、高額の学費もいとわないのだそうだ。ほかにも、都立高校の教員をしている家庭で、自らが教えている教育ではない教育環境で子どもを育てたいと考え、ハロウ安比校を志望している人もいる。実はこの傾向は、ハロウ安比校だけのものではなく、インターナショナルスクール全般においていえるのだという。

親が感じる限界と、子に託す「教育」

「今までは、海外にバックグラウンドがある親御さんが、インターナショナルスクールを選ぶという傾向がありました。ただ、近年顕著なのは、親御さんが自身の受けてきた教育ではこれからの社会に対応できないと感じ、子どもはグローバルな環境で学ばせたい、とインターナショナルスクールを選んでいることです。今や大企業や有名企業に入れば、それでもう安泰という時代ではありません。親自身が、グローバルな環境で生き抜く大変さを知るからこそ、子どもには早くからそれに対応できる力を身に付けてほしいと考えるのですね」

そう考える親の職業はさまざまだ。

「例えば、東京都内で農家をしている方は、娘さんを東京・港区にあるインターナショナルスクールに通わせています。農家とインターナショナルスクール、一見遠く感じるかもしれませんが、この方は、娘さんにグローバルな農業経営を学ばせ、人脈をつくるためにインターナショナルスクールに通わせているそうです。インターナショナルスクールは、他国の外交官のお子さんなども通っているため、そのお子さんが自国に帰られた後に、強い人脈になるんですね」

ほかにも一般企業に勤めている親が、グローバルな視点を持ってほしいとインターナショナルスクールに入れることも珍しくないそうだ。

年間100万円台からのインターナショナルスクール

加えて、年間100万円台の学費から通えるインターナショナルスクールが増えていることも追い風なのだという。例えば、東京都三鷹市にある「ムサシインターナショナルスクールトウキョウ」は年間の学費はおよそ150万円前後。ハード面の資金投資をできるだけ抑え、その分を授業の質などのソフト面に回すことで、学費を抑えている。グラウンドやスイミングプールは自校では持たず、公共施設を使用して体育や水泳の授業を行っているそうだ。

ムサシインターナショナルスクールトウキョウで行われているロボティクスなどの授業風景
(写真:村田氏提供)

このようなインターナショナルスクールが増えたこと、また、一般家庭でも「海外志向」が高まっていることでインターナショナルスクールを選択する家庭が増えてきた。しかし、海外大学への進学だけを考えれば、私立、公立問わず、進学指導をする日本の学校も増えてきている。あえてインターナショナルスクールを選ぶ理由とはいったい何だろうか。

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